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意匠に魂を宿す。私が『日本意匠製作所』を立ち上げた理由

はじめまして、日本意匠製作所の店主、小野です。 本日は、数あるサイトの中から当製作所を見つけてくださり、ありがとうございます。

このブログの最初の投稿として、なぜ私がこのブランドを立ち上げたのか、そして製品に込めている「志」についてお話しさせてください。

1. 「日本意匠製作所」という名前に込めた誇り

きっかけは、ふとした思いつきで始めた「家系図」の作成でした。

戸籍謄本を辿り、古き菩提寺に赴き、先祖の足跡を一つずつ繋ぎ合わせていく。その過程で、墓石に深く刻み込まれた「家紋」をじっと見つめたとき、言葉にできない衝撃が走りました。

「これは、日本人が磨き上げてきた、世界に唯一無二のアイデンティティだ」

しかし、ふと周りを見渡せば、自分のルーツや家紋、そして日本が歩んできた歴史に興味を持つ人は、決して多くはありません。未来を向いて生きることは大切ですが、今私たちがここに在るのは、気の遠くなるような年月の中で命を繋いできた先人たちがいたからです。

私たちは、大切なものを忘れようとしていないか。 かつて日本人が持っていた誇りや美しい伝統を、どうすればもう一度、現代に取り戻せるか。

悩み抜いた末に出した答えが、**「日本を感じさせる意匠(デザイン)を、形にする」**ことでした。 「製作所」という名前には、単なるアパレルの枠を超え、職人のようなこだわりを持って先人の意匠に再び命を吹き込むという、私の覚悟を込めています。

2. デザインの根源:歴史への情熱

私の歴史への情熱、その源流は小学生のときに出会った『三國志』にあります。

夢中で読み漁った横山光輝氏の漫画、そしてそこから日本の歴史へと興味が移っていくのは、私にとってあまりにも自然な流れでした。特に心を掴まれたのは、群雄が割拠し、個々の生き様が激しく火花を散らした戦国末期から安土桃山時代です。

当時、没頭したのは初代『信長の野望』でした。画面越しに広がる戦国の大地で、武将たちの野望や葛藤に触れ、いつしか彼らは私の中で「過去の人物」以上の存在になりました。

大人になった今も、その情熱は冷めるどころか深まっています。 家を象徴する「家紋」。武将が自らの志を込めて記したサインである「花押」。これらをデザインするとき、私は自分自身に一つの絶対的なルールを課しています。

それは、**「先人たちの名誉を汚さぬよう、徹底的に向き合う」**ということです。

3. 絶対のルール:「意匠考証」の徹底

ものづくりにおいて、当製作所が最も重きを置いているのが「意匠考証」です。

現代において名前を間違えることが大変な失礼に当たるように、歴史の世界でも、家を象徴する「家紋」を誤った形で世に送り出すことは、絶対にあってはならないことだと考えています。

歴史を紐解く作業は、決して容易ではありません。 同じ一族であっても、代によって家紋を変えることもあれば、戦況によって使い分けることもあります。だからこそ、私は一切の妥協を排します。

九州の武将であれば、自ら資料館や菩提寺に足を運び、現存する資料をこの目で確認します。遠方の武将であっても、複数の資料や古書を突き合わせ、徹底的に裏付けを取ります。

少しでも疑問が残るなら、そのままにはしません。 「確証が持てないものは、たとえ需要があっても商品化しない」 これが、日本意匠製作所の看板を背負う私の、最低限の矜持です。

4. 現場主義:史跡「探訪」からの着想

名のある武将の影を追うとき、私は必ず現場に立つことを大切にしています。

愛車(バイク)に跨り、風を切って辿り着くのは、武将たちが眠る菩提寺や、かつての栄華を今に伝える城跡です。静寂に包まれた墓前にて手を合わせ、時にご住職とお話をさせていただき、その土地に伝わる生きた伝承に耳を傾けます。

資料館の入館料を払うときは、「これが貴重な文化財を守る一助になりますように」と、祈るような気持ちで受付を通り抜けます。五感すべてを使って戦国武将たちの息吹を肌で感じること。その実体験こそが、私のデザインに血を通わせるのです。

一つの謎を追いかけているうちに、別の人物の魅力に引き込まれ、歴史の迷宮に迷い込んでしまうことも珍しくありません。しかし、その寄り道こそが、教科書には載っていない「本物の気配」を運んできてくれます。

5. お客様との約束:身に纏う「志」

日本意匠製作所が提供するのは、単なる衣服ではありません。 それは、数百年という時を超えて受け継がれてきた歴史の重みであり、先人たちが命をかけて守り抜いた「志」そのものです。

当製作所では、大量生産の形はとりません。 一着のシャツ、一枚の意匠に対して、私が考証し、納得したデザインを、一点ずつ丁寧に、魂を込めて仕上げる体制を整えています。

お客様がその袖を通したとき。 ふと鏡に映る家紋を目にしたとき。 かつての武将たちが持っていた誇りや、凛とした空気感が、お客様の日常に少しでも彩りを添えることができれば、これ以上の喜びはありません。

身に纏うのは、歴史。 手にするのは、日本。

日本意匠製作所は、これからも「正しき意匠」を追求し、皆様の元へお届けし続けることをお約束します。

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